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現行の要約筆記者養成への不満

この記事は、過去記事「全国文字通訳研究会」(http://jetmaguro.blog.fc2.com/blog-entry-134.html) の続きです。


フリートークで挙がった話題の一つに、厚生労働省の要約筆記者養成カリキュラムへの強い不満がありました。
  • 「概念の再構築」ではなく、話された言葉そのものを読みたい
  • まず「そぎ落としありき」という考えはおかしい

補足します。
「概念の再構築」とは、要約筆記者養成テキストに登場する重要な考え方です。すなわち、話された言葉をそのまま文字に変換するのではなく、話し手の意図(概念)を、要約筆記者が読み取って、要約して短く簡潔な文章で表現(再構築)すべし、というものです。
日本人の話す言葉は平均して1分間に300文字程度、一方、手書き要約筆記の場合、書くスピードは1分間に60文字程度。
話された言葉をそのまま文字にするのは不可能であり、「概念の再構築」を行うのは必然なのです。

また、それを行うためには、話された言葉の、根幹と枝葉とを瞬時に弁別し、前者を生かし後者を捨てるテクニックを身につけなければならない。そのための重要なテクニックの一つが「そぎ落とし」です。具体的には、「あの~、え~と」などの無機能語や、副詞をそぎ落とすのが基本。
「無機能語を落とすのはわかるが、副詞も落としていいの?」
と疑問に感じる人も多いと思うのですが、容赦なく落とします。それでも大意は通じるのです。

フリートークでは、これらの考え方が不評だった。かなり強い不満の声が挙がりました。
私も自分の意見を述べましたが、あまりうまくまとめられなかったので、再度ここにまとめます。

「そぎ落とし」「概念の再構築」は、手書き要約筆記にとっては必須の考え方である。また、パソコン要約筆記でも、1人入力をするならば同様に必須だといえる。
そして、
「スクリーン上に沢山の文字が流れていくのを読むのは、目がチカチカしてつらい。要約して、簡単に読めるようにコンパクトな文章で出してほしい」
という聴覚障害者のニーズに対しては、有効な手段である。
要約筆記者養成カリキュラムは、このニーズに応えるための、練りに練られた、精緻な体系でできている。

しかし、一方で
「『概念の再構築』ではなく、話された言葉そのものを読みたい」
という聴覚障害者のニーズは、現行の養成カリキュラムでは、ほとんど無視されている。
このニーズに応えるための、現時点でのベストな方策は、パソコン要約筆記による連係入力であるが、カリキュラムで扱われるのはほんの僅かである。

この現状に対して、進むべき方向は、
「連係入力ができるパソコン要約筆記者を養成するための、標準的な方法を練りあげて体系的にまとめ上げ、それを要約筆記者養成カリキュラムに反映させる」
である。これによって、
  • スクリーン上に沢山の文字が流れていくのを読むのは、目がチカチカしてつらい。要約して、簡単に読めるようにコンパクトな文章で出してほしい
  • 『概念の再構築』ではなく、話された言葉そのものを読みたい
どちらのニーズにも応えられるようになる。

~~~

文字通訳研究会で、連係入力を考えるワーキンググループを作る、という話しが出ました。その成果が、いずれ養成カリキュラムに反映されることを期待したいです。というと他人事のようだが、私も何か協力できることがあればしたい。

ログ提供問題

この記事は、過去記事「全国文字通訳研究会」(http://jetmaguro.blog.fc2.com/blog-entry-134.html) の続きです。


パソコン要約筆記では、終了後に、表出した内容をテキストファイルとしてログに残すことができる。(使用しているソフトのIPtalkにその機能がある)
しかし、現在のパソコン要約筆記の公的派遣では、あえてその機能を使わず、ログを渡していないところが大半だと思う。

その現状に対して、フリートークにて、
「ログを提供してほしい」という強い訴えがあった。
ログが渡せない、というなら、その合理的な理由は何なのか?という疑問も出された。

ログが渡せない理由は、
「要約筆記はその場の通訳である。だから、その結果はその場で消えてしまうものだからだ」
というのが公式見解(?)だと思うが、正直に言って、私もこの理屈は弱いと思う。

たとえば、日本語と英語の通訳現場を考えてみる。
確かに、その場の通訳結果(日本語または英語の音声)は、その場で消えてしまうものだが、一方、通訳を利用する当事者が、その通訳結果を録音することもできる。
その際に、通訳者が、
「待ってください!!通訳結果はその場で消えてしまうものです!!録音は止めてください!」
などと、求めることはなかろう。

通訳結果を、後で利用できる形で残すか残さないかは、通訳の利用者が双方の合意で決めればよいことであって、そこに通訳者が介入する道理はないはずだ。

この問題については、事務局にて「ログ提供のために必要な条件は何か」を考えていて、当日、ホワイトボードに書き出された。その要点は、
  • ログ内容に明らかな欠落、誤りがあっても、利用者は、通訳者の責を問わない。
  • 利用者は、ログの目的外利用をしない。
  • 通訳者は、ログを直接に利用者には渡さず、その場の主催者経由で提供する。
    (主催者の許可がないと、ログは利用者のもとに渡らない)

私は、本当にこれらの条件が守られるならば、ログ提供に問題はないと思う。
(逆にいえば、現状では、これらの条件が守られる保障がないため、ログ提供はできない)

しかし、当日には考えつかなかったが、もう一つ、ログ提供には「著作権」の問題が絡むのではないかと思う。話された内容を文字にすると、そこに著作権問題が発生する余地が生じるのでは?「ログを渡さない」という方針には、そういう困難な問題を回避するため、という理由もあるのではないか、と思った。
(ひょっとすると、当日、ホワイトボードに書かれた「ログ提供のために必要な条件」の中に、この問題への考慮も書かれていたが私が見落としていた、かもしれない)

(つづく)

情報提供施設へのアンケート結果

この記事は、過去記事「全国文字通訳研究会」(http://jetmaguro.blog.fc2.com/blog-entry-134.html) の続きです。


全国の都道府県、政令指定都市の情報提供施設に対し、文字通研が行ったアンケート結果が報告されました。
調査名は「パソコン要約筆記の担い手の要請・派遣に関するアンケート調査」

文字通研は連係入力を求める団体なので、調査項目にも、それに関連するものがいくつかあった。なかでも一番興味を引かれたのは、都道府県毎に、連係入力か一人入力か、どちらを行っているかをまとめた資料。
「あそこは1人入力なのか…あそこは連係か…」などと楽しめました(?)

ただ、残念なことに、調査対象48施設に対し、有効回答が25件。本当はすべての都道府県について状況を知りたかったところです。

また、調査項目に
「1人入力か連係入力か、利用者が依頼時に選べるか?」
というのもあり、「選べる」という施設はなかったとのこと。

この点については、どうやらアンケートには回答がなかったが、実際には選べるところもあるらしい。
というのは、mixiの
「PC要約筆記」コミュニティ
「PC要約筆記に関する質問」トピック
に、
「うちの地域は要約か全文かは利用者が選択できます。」
という投稿があるからだ。(2013年1月頃。コメント[66])
(書き込みからではどこの地域かは分からない)

「要約か全文か」を利用者が選択し、「一人入力派遣か連係入力派遣か」で情報提供施設が応える、という運用ではなかろうか。
その運用について話しを聞いてみたい。
この地域、アンケートに答えてほしかった、と切に思います。

(つづく)

モバイル型遠隔情報保障システム

この記事は、過去記事「全国文字通訳研究会」(http://jetmaguro.blog.fc2.com/blog-entry-134.html) の続きです。


ハブネットせたがや代表の宮原都子さんによる、同社の遠隔情報保障システムの紹介がありました。

このシステムは、現場の音をスマホで採取し、回線を通じて遠隔地にいる入力者(複数人。たとえば各々の自宅にいたりする)に伝える。入力者はそれを聴きながら、やはり回線を通じて連携入力を行い、結果を現場に飛ばして、字幕を利用者の手元のスマホに出す、というものである。
利用者にとっては、ノートテイクのように入力者が横に貼り付いておらず、スマホを見るだけでいいのが大きな利点だ。
しかも、その字幕は自由に巻き戻して、過去の内容を読み返せるようになっている。
(IPtalkでも入力画面のワープロモードにすれば巻き戻せはするが、字幕が動くと最新状態に戻ってしまい、過去の内容を落ち着いて読むことができない)
特に教育現場で有効な機能だ。

技術的な話だけでなく、運用の事例紹介もあり、とても興味深かった。

ところで、入力者にとって、「ここ」「これ」「あれ」といった指示代名詞は、頭痛の種です。
このシステムでは、入力者は遠隔地にいるため、現場の様子が見えず、音声だけを頼りに入力する必要があります。
すると、現場にて、話者(たとえば学校の先生)が板書を指しながら
「ここについて話します」
と言ったとき、実際に黒板のどこが指されていたたかが、入力者には分かりません。。
当然、字幕も『ここについて話します』と、話された言葉どおりに出さざるを得ない。
しかし、どんなに入力が速くても、字幕の表出は、話しの後、数秒程度は遅れる。『ここについて話します』という字幕が出た時には、話者はすでに黒板を指さすのをやめて、次の話題に移ってしまっているのです。

遠隔情報保障ではなく、従来型情報保障(入力者が現場にいる)であれば、話者が
「ここについて話します」
と言ったとき、入力者がすかさず話者の動きをチェックすれば、たとえば板書の[1]の部分を指していることが分かります。
上手い入力者なら、それに応じて言葉を置き換えて、字幕を
[1]について話します
と出すことができる。字幕の表出が、話しの後、数秒程度遅れても、利用者はそれを見て「ああ、話し手は[1]について話したんだな」と正しく把握できる…というわけです。

さて、質疑応答にて、この悩ましい指示代名詞に関する質問が、会場から出た。
遠隔情報保障システムでは、どう対応しているのか?
宮原さんの回答は
「話者の姿は見えないので、入力者は聞こえたまま打つ。事前に先生と話して、指示代名詞はなるべく使わないようにお願いしている」
とのこと。もっともであるが、こんな意味のことも言われていた。
「指示代名詞を適切に置き換えるのは、入力者が現場にいたとしても難しい」

……ゆえに、指示代名詞をそのまま出すことは、大きなマイナスポイントにならない。なぜなら従来型情報保障でもそうなのだから……

という意図だと思うが、ここはちょっとだけ残念に思いました。

確かに、従来型情報保障に携わる者にとっても、指示代名詞の適切な置き換えは難しい。私自身も、常に上手くできている、とは残念ながら言えないが、しかし、それでも何とか頑張っているし、上手い入力者ならばかなりできる。

とにかく、指示代名詞への対応は、従来型と比べての、遠隔情報保障の弱点であることは確かなのだ。そこは、明確に認めるべきだと思う。
なぜなら、利用者が、従来型と遠隔型の双方の長短を把握して、自分にとって適切な方を選ぶために必要だからです。

(つづく)

全国文字通訳研究会

8月29日(土)、全国文字通訳研究会(文字通研)の集まりに行ってきました。
文字通研は聴覚障害者が中心で、文字による情報保障は、話の「要約」だけではなく、話されたままの言葉を文字化することも必要である、と主張している団体です。

私が行った目的は以下2点。
  • その主張を当事者から実際に聞きたかったこと
  • その主張に沿った情報保障(つまり話の通りの文字化を旨とする)を見たかったこと
    (当日、パソコン連携入力による情報保障があった)

後者に関しては、参加中ずっと、イヤホンで間断なくホワイトノイズを流して聴覚を遮断し、字幕だけで話の内容を把握することを試みた。
要約されていない字幕は読みづらいか否か?を確かめたかったのだ。

結論から言うと、当日の字幕は、ほとんどストレス無く読むことができました。
(入力者が上手かった)

話された内容は、大きく分けて次の4つ。
  1. ハブネットせたがや代表の宮原都子さんによる、同社の遠隔情報保障システムの紹介
  2. 全国の情報提供施設へのアンケート結果報告
  3. フリートーク(話題は情報保障現場でのログ提供の要望)
  4. フリートーク(話題は現行の要約筆記者養成への不満)

それぞれとても興味深く、フリートークでは私も発言しました。

(つづく)
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