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乙武洋匡 著「五体不満足」(1998年、講談社)

小浜逸郎著『「弱者」とはだれか』(PHP新書、1999年)に、『五体不満足』の引用がある。

 その頃、国語の時間に「特徴」と「特長」の違いについて学んだ。「特徴」は、「他と比べて、とくに目立つ点」という意味を持つのに対して、「特長」は、「そのものを特徴づける長所」という意味を持っていた。つまり「特徴」は単なる違いだけを表すが、「特長」は他とは違う、「優れた部分」を表すのだ。
 その日以来、ボクは自己紹介などで「特徴・手足がないこと」と書いていたのを、「特長」と書くようになったのを覚えている。

(『「弱者」とはだれか』77頁より、『五体不満足』の孫引き)
そして、それを評して曰く

 手足がないことは、この人間社会では、あくまで「欠損」という「特徴」であってけっして「特長」ではない。「欠損」の自己認識を意志や気力や知力で補填することによって、はじめてそれが「特長」でもありうる可能性が生まれるのだ。
(略)
 ニーチェの『ツァラトゥストラかく語りき』に、「せむしから瘤を取ったらせむしではなくなる」という有名な台詞がある。「せむし」という自分の現実を逃れられない実存的な条件として引き受けて、それを精一杯生きようとすること(『五体不満足』の著者自身には、その力がありあまるほどそなわっていることがわかるが)と、「せむし」であることを「長所」であると言いくるめることとは、似ているようでまったく違っている。実際、そんな言いくるめが一般的な力を持つほど、この世は甘くない。

(78~79頁)

これを読んで私は納得し、それ以来、私はなんとなく乙武さんを「いまいちな人」に分類して、特に関心を持たずに来た。
一方、伏見憲明著『さびしさの授業』(理論社、2004年)にも、『五体不満足』を引用した部分がある。

「障害は個性である」という言葉をよく耳にする。ボクには、なんだか、くすぐったい。健常者には、ただの強がりに聞こえる場合もあるようだ。子どもの頃は「特長」と捉えていたボクの障害だが、今では、単なる身体的特徴にすぎないと考えるようになった。

(『さびしさの授業』115~116頁より、『五体不満足』の孫引き)
そして、それを評して曰く

 乙武さんは、「個性」という表現を、いささか持ち上げ過ぎていると感じているようです。障害は一つの人間のありようだとはいえるが、「個性」というほどの特別の価値があるわけではない、と。

(116頁)

???
乙武さんにとって、障害は「特長」ではなかったのか?いつから考えが変わったのか?
まず考えられるのは、「五体不満足」の初版では、著者が障害を「特長」としてとらえており、小浜逸郎さんはそれを元に批判した。そして改訂版では、著者は障害を、単なる「特徴」としてとらえるように変化しており、伏見憲明さんはそれを元に評価した、というストーリーだ。

そこで、私は『五体不満足』を購入して確かめてみた。初版第19刷。

その日以来、ボクは自己紹介などで「特徴・手足がないこと」と書いていたのを、「特長」と書くようになったのを覚えている。
これは81頁にあった。そして、
子どもの頃は「特長」と捉えていたボクの障害だが、今では、単なる身体的特徴にすぎないと考えるようになった。
これもあったのだ。257頁に。

障害が「特長」だ、というのは、著者が小学生だった頃のエピソードであり、その後、五体不満足が書かれた1998年、著者が大学生になった頃には、障害は単なる身体的特徴にすぎない、と考えが変わったのが真相のようだ。

そうなると、小浜逸郎さんの批評は、著者の考えの変化を追わずに、小学生時代のエピソードだけを取りあげて批判していたことになります(257頁のくだりはひょっとすると読み落としたのかもしれないが)。
私は小浜逸郎さんの愛読者で、大昔にファンサイトを作っていた程なのですが(今は消滅)、この点に関してはちょっと残念でした。

一方、乙武さんは、私にとって「いまいちな人」だったのが、何となく「ナイスな人」に変わりました。
先日の「乙武洋匡イタリアンレストラン入店拒否騒動」がきっかけで、ご本人のツイッターや、公式サイトに書かれた反省文(?)を読んで、けっこう誠実な人物であると感じたからです。
まぁひょっとしたら、「誠実な人物であると感じさせる技能に長けた人物」なのかもしれませんが、実際に確かめようがないし、本当に誠実な人物であると信じても別に損はないな、と思いました。
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