スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

モバイル型遠隔情報保障システム

この記事は、過去記事「全国文字通訳研究会」(http://jetmaguro.blog.fc2.com/blog-entry-134.html) の続きです。


ハブネットせたがや代表の宮原都子さんによる、同社の遠隔情報保障システムの紹介がありました。

このシステムは、現場の音をスマホで採取し、回線を通じて遠隔地にいる入力者(複数人。たとえば各々の自宅にいたりする)に伝える。入力者はそれを聴きながら、やはり回線を通じて連携入力を行い、結果を現場に飛ばして、字幕を利用者の手元のスマホに出す、というものである。
利用者にとっては、ノートテイクのように入力者が横に貼り付いておらず、スマホを見るだけでいいのが大きな利点だ。
しかも、その字幕は自由に巻き戻して、過去の内容を読み返せるようになっている。
(IPtalkでも入力画面のワープロモードにすれば巻き戻せはするが、字幕が動くと最新状態に戻ってしまい、過去の内容を落ち着いて読むことができない)
特に教育現場で有効な機能だ。

技術的な話だけでなく、運用の事例紹介もあり、とても興味深かった。

ところで、入力者にとって、「ここ」「これ」「あれ」といった指示代名詞は、頭痛の種です。
このシステムでは、入力者は遠隔地にいるため、現場の様子が見えず、音声だけを頼りに入力する必要があります。
すると、現場にて、話者(たとえば学校の先生)が板書を指しながら
「ここについて話します」
と言ったとき、実際に黒板のどこが指されていたたかが、入力者には分かりません。。
当然、字幕も『ここについて話します』と、話された言葉どおりに出さざるを得ない。
しかし、どんなに入力が速くても、字幕の表出は、話しの後、数秒程度は遅れる。『ここについて話します』という字幕が出た時には、話者はすでに黒板を指さすのをやめて、次の話題に移ってしまっているのです。

遠隔情報保障ではなく、従来型情報保障(入力者が現場にいる)であれば、話者が
「ここについて話します」
と言ったとき、入力者がすかさず話者の動きをチェックすれば、たとえば板書の[1]の部分を指していることが分かります。
上手い入力者なら、それに応じて言葉を置き換えて、字幕を
[1]について話します
と出すことができる。字幕の表出が、話しの後、数秒程度遅れても、利用者はそれを見て「ああ、話し手は[1]について話したんだな」と正しく把握できる…というわけです。

さて、質疑応答にて、この悩ましい指示代名詞に関する質問が、会場から出た。
遠隔情報保障システムでは、どう対応しているのか?
宮原さんの回答は
「話者の姿は見えないので、入力者は聞こえたまま打つ。事前に先生と話して、指示代名詞はなるべく使わないようにお願いしている」
とのこと。もっともであるが、こんな意味のことも言われていた。
「指示代名詞を適切に置き換えるのは、入力者が現場にいたとしても難しい」

……ゆえに、指示代名詞をそのまま出すことは、大きなマイナスポイントにならない。なぜなら従来型情報保障でもそうなのだから……

という意図だと思うが、ここはちょっとだけ残念に思いました。

確かに、従来型情報保障に携わる者にとっても、指示代名詞の適切な置き換えは難しい。私自身も、常に上手くできている、とは残念ながら言えないが、しかし、それでも何とか頑張っているし、上手い入力者ならばかなりできる。

とにかく、指示代名詞への対応は、従来型と比べての、遠隔情報保障の弱点であることは確かなのだ。そこは、明確に認めるべきだと思う。
なぜなら、利用者が、従来型と遠隔型の双方の長短を把握して、自分にとって適切な方を選ぶために必要だからです。

(つづく)
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール
カテゴリ
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR
カウンター
にほんブログ村 その他生活ブログ 献血・ドナーカードへ
にほんブログ村
にほんブログ村 その他生活ブログ ボランティアへ
にほんブログ村
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。