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仕事の引き継ぎ

ある施設では、清掃作業員を1人雇っていたが、その人が転職するので、後任を募集した。
後任者は、耳が聞こえなかった。
一方、前任者は、手話ができないばかりか、聴覚障害者と身近に接した経験もなかった。
前任者が退職するのは3日後。したがって、仕事の引き継ぎのための期間は2日間のみ。

その2日間、後任者は前任者の仕事について回り、様々な作業の手順をみせてもらった。おそらく、質問があれば筆談によるやりとりがなされたと思われる。

そして前任者は、大きな模造紙を購入し、すべての仕事の手順(この時間にここを回り、そこではこういう作業をして、さらに2カ月に1回の頻度でこういう特別な作業が発生し、etc)を、絵を交えてわかりやすく描き、それを作業員控室に貼った。

ここまでなら、
「なるほど、引き継ぎ期間が短いことと、後任が聴覚障害者であることを考慮したんだな。よく気のつく人なんだな」
といったところだ。

しかし、前任者はその「全仕事手順絵巻」を、もう1枚作った。
そして、それを管理人室にも貼ったのである。
なぜか?
私の想像に過ぎないが、前任者は、それによって後任者と管理者のコミュニケーションの断絶を補おうとしたのだと思う。

清掃の仕事は、私も5年間やったことがあるが、基本的には決められた手順を淡々とこなしていくというものだ。しかし、時には例外的な事柄も発生し、作業者と管理者とで話をしなければならない。
ここで障壁となるのが、
「後任者が聴覚障害者であること」および「管理者に聴覚障害者と接した経験がないこと」
である。
これに関しては、どうしようもない。しかし、後任者に仕事を覚えてもらうのは当然として、さらに、管理者にも、少しでも仕事を覚えてもらえば、両者のコミュニケーションに多少なりとも役立つのではなかろうか。

管理者が、根気よく筆談に応じてくれる人であるとは限らない。適当な身振り手振りでコミュニケーションを済ませる(済ませたような気になる)人である可能性もある。しかし、仮にそうであっても、その施設の清掃の仕事について、一通りの知識があれば、いざコミュニケーションの必要が生じたときに、話の通じる割合が高まるのではないか。
仕事の話限定ではあるが。

私はこの話を聞いた時、前任者の、仕事への思い入れを強く感じた。前任者は、その施設のすべて(どこに何があり、ここのコーナーは汚れがちで、ここの排水は詰まりがちで、etc)を身体で覚えており、そのメンテナンスに自信を持っていたのだと思う。そして、後任者にも、そうなって欲しかったのだ。

だから、後任者が「聴覚障害者である」という不利な条件のなかで、最大限の効果を挙げるような引き継ぎ策を、短期間で考え、実行できたのだ。きっと。多分。
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